クリスマスは日本人にとっても馴染み深いものになり、お寺付属の幼稚園でもクリスマスを祝ったり、笑い話としてお寺のお坊さんが「キリスト教でもクリスマスのお祝いをするんですか?」と言ったとか言わないとか... ほんとかどうかわからないけれども、日本国内においては宗教性はかなり薄まっていることは事実です。
イースターのほうはクリスマスに比べるとまだ世俗化されていませんね。いくつかイースターエッグを売り出している商売もあるようですが、まだまだです。でも私自身はイースターはクリスマスと同じかそれ以上に重要なものだと感じています。
2年ほど前にマッドマックスやブレーブハートで有名なメル・ギブソンが監督した映画「パッション」というのが話題になりました。日本国内の前評判では、「アメリカで映画館がどこも満員になり、その残酷なシーンのため死人まで出た」というものでした。この言葉からイメージする映画はホラー映画くらいなのですが、実際には違います。
そもそも題名が問題で、英語の原題は"Passion of the Christ"。 直訳すると「キリストの受難」です。日本語で「パッション」というと「情熱」の意味に捉える人も多いでしょう。中には「パッションフルーツ」を思い浮かべるかもしれません。でも実際には「受難」です。
メル・ギブソンがキリストの受難を題材に映画を取るという噂はこの数年前からありました。しかも当時から映画は全てアラム語(キリストがうまれたユダヤ・ナザレ地方の言葉)とラテン語で撮るという無謀な計画だということも知られていましたね。不安はありましたが、結果としては大成功であったと私は思います。
また従前は「残酷な処刑シーン」がやけにクローズアップされていましたが、私自身はそれ以上に十字架刑の前にローマ兵によって鞭打たれるシーンのほうがショックでしたね。想像するにアメリカで映画を見てショックのあまり心臓麻痺を起こしてしまったという方も、こちらが原因ではないかと思います。
十字架について記述した聖書の4つの福音書の中にも、この鞭打ちの刑の場面はあまり細かい記述がありませんので、読者の想像も貧弱になりがちです。でも当時の鞭打ち刑は「四十に一つ足らない鞭」という刑であり、40回打つと死んでしまうため、39回でやめるというものでした。それを実際に映像にされると、正に絶句... するしかありませんでした。
映画はメル・ギブソン監督がカトリックであることからカトリックの伝承が入り混じっており、プロテスタントの私から見ると「へ?」と思う部分もありましたが、映画の出来しては最高。キリスト教の入門編としてはキツすぎるけど、すでにクリスチャンである人が是非観るべき映画だと思いますね。