発光効率とは入力したエネルギーがどれくらい光に変換されているかを示す値で、蛍光灯などでは光以外に熱や音などに多くエネルギーが消費されてしまい効率が悪いことがわかります。
しかし、太古の昔からホタルの発光効率は90%。人間が一生懸命知恵を出し、明るく、効率の良い光源を求めてもここまでは到達できませんでした。ただただ、自然の前に脱帽するしかありませんね。
今回、理化学研究所などの共同チームがDNAレベルでの発光現象の解明に大きな一歩を記しました。ホタルの光は輝度(光の強さ)という意味で人間の生活の中では使い物になりませんが、今後の光源開発においては重要な知識となるでしょう。より良い生活のために研究者にはさらなる努力をお願いしたいと思います。
ちなみに分析に用いられたスプリング8(SPring8, Super Photon Ring 8GeVの略)は和歌山のヒ素カレー事件の林真須美容疑者が使った亜ヒ酸の結晶構造を突き止めた研究所です。
ホタルの発光の仕組み、理化学研チームが解明
ホタルの光がなぜ黄緑色に光るのかを、理化学研究所などの研究チームが突き止めた。
体内にある特定のたんぱく質の構造変化で、光を出す「発光体」のエネルギーが失われない状態となり、エネルギーが高く波長の短い黄緑色の光が出るという。
効率的なエネルギー利用システム開発に道を開く成果で、16日付の英科学誌「ネイチャー」に発表した。
研究チームはゲンジボタルの発光を促すたんぱく質「ルシフェラーゼ」の立体構造を大型放射光装置「スプリング8」で解析した。その結果、発光直前にたんぱく質の特定のアミノ酸が発光体を握りしめるような形に構造変化することがわかった。これにより、発光体は強く固定され、エネルギーは高く維持された状態から放出されるため、黄緑色に光るという。
アミノ酸を変異させたルシフェラーゼを人工的に作成したところ、発光色はエネルギーの低い赤や橙(だいだい)色になった。アミノ酸の変異により発光体が固定されず、発光前に振動によってエネルギーが失われてしまうためと考えられる。
研究チームの中津亨・京都大助教授は「発光メカニズムの解明で産業に活用する可能性が開けた」と話している。
(2006年3月16日11時57分 読売新聞)
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